デジタルファクトリー(DF)部門では、ハードウェアとソフトウェアが一体化し、技術をベースとしたサービスを提供することで、世界中の製造会社の生産工程の柔軟性と効率性を高め、新製品の市場投入をスピードアップしています。ドイツのバート・ノイシュタット・アン・デア・ザーレの拠点で、シーメンス社は電気モーターの「リードファクトリー」を運営しており、そこではKUKAロボット用モーターも多数製造されています。
何十万台もの電気モーター製造から得た知識と、約1,700名の従業員を擁するこのリードファクトリーは「ドイツ製」を誇る革新的な先端技術の一例です。現在バート・ノイシュタットでは、軽量で柔軟なKUKA LBR iiwaを採用しモーター製造を行っています。
ワークハンドリングの自動化
シーメンス社は、これまで手作業で行われていた加工部品の受け渡しや位置決めを自動化し、高品質を保ちつつ、人が作業エリアにいつでも制限なくアクセスできるような柔軟なソリューションを探していました。
自律的かつ協力的に作業
KUKAシステムズ社とその先進技術ソリューション部門と共同で、シーメンス社はKUKA軽量ロボットLBR iiwaを使った柔軟なセルを開発。バート・ノイシュタットの工場では、ロボットがシャーシ上で加工する部品であるステータ(打刻された磁気鋼板のベースボディとアルミニウムエンドシールドから成る)を搬送装置から取り出し、ステータの切削を行う旋盤に供給する役目を担っています。
また、品質検査にもロボットが使用されています。ロボットはパーツを掴み、バーコードをスキャン。空気を吹き付けてワークのクリーニングをした後、傾動装置内の測定ステーションに送ります。
ここでは偏差があるかを検査。ネットワーク化された技術により、正確な計測と識別で修正の必要を即座に計算でき、システムに実装することができます。このシステムは、Industrie 4.0の理念に沿って組織化されています。
その後ロボットは、部品をプラスチックの箱に入れて配達できるようにします。機械の中で微調整が必要な部品は、「HRC(ヒューマン・ロボット・コラボレーション)ゾーン」と呼ばれる一時保管場所に配置されます。ここでは確かな技術を持つ作業員がロボットと共に待機しており、必要に応じてワークの部品を取り外したり交換したりします。
高感度ロボット技術で安全柵不要
シーメンス社が採用している軽量ロボットLBR iiwaは、高感度で30kg以下という軽量で、人とロボットの共同作業に最適です。7つの軸を持ち、他のどのモデルよりも機敏で機動性に優れているばかりでなく、すべての軸にトルクセンサーを搭載し、周囲の障害物を認識し機敏に反応します。
これにより、KUKAはロボットの自動化と高い柔軟性の両立を証明。高感度ロボット技術の採用により、ヒューマン・ロボット・コラボレーションを実現しています。その結果、これまで必要とされていたエンクロージャーや部品認識のための追加センサーも不要になっています。
柔軟で優れたソリューション
その結果、軽量で柔軟なLBR iiwaと「ナイトコンセプト」を組み合わせて使用することにしました。これにより状況に応じてロボットを使用したり、単純に外したりもできるようにしたのです。技術開発チームプロジェクトマネージャーのトーステン・フランツ氏は「HRCアプリケーションは、未知のものでした。このシステムを学習ツールとして使用し、徐々に開発していきたいと思ったのです。KUKAとの共同プロジェクトでは、大きな成功を収めることができました。」と補足しています。