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パワーとリーチ増強:ガラス製造で活躍するKUKAロボット

オーストリアはニーダーエスターライヒ州の機械メーカー LiSEC社が、初となるテンパリングベッドのローディングに適用するKUKA社のロボットを導入しました。


板ガラス産業用の機械がLiSEC GmbH社の得意分野です。

LiSEC社の製品群には、ガラス切断および仕分けシステム、個別コンポーネントおよび製造ライン一式、ならびにガラス端面加工機および焼き戻しシステムを始めとして、対応するソフトウェアや適切なサービスも含まれます。「当社の機械でお客様はガラスファサードの断熱ガラスや階段のガラスなどを加工し、高級品に仕上げています」LiSEC社のロジスティクスのプロダクト・マネージャーであるベルンハルト・ライトナー氏は説明します。1961年にペーター・リゼック氏が設立した小さなガラス加工会社は、間もなく創業60年となる現在約1,250人の従業員を擁するグローバルに活動する機械製造グループに成長しました(従業員のうち 800人はザイテンシュテッテン市の本社で働いています)。同社の最大販売市場は、欧州のほかに米国・中国・オーストラリア・ニュージーランドがあります。世界でも有名な窓メーカーやファサード建設業者、ガラス加工業者が顧客リストに名前を連ねています。LiSEC社のテクニカル・エキスパート兼プロジェクト・コーディネーターのアンドレアス・マーダー氏は、「板ガラス産業の大企業や中堅企業にとって自動化の度合いがますます重要になってきています」と述べます。ニーダーエーステライヒ州の同社はこのことを十分に考慮し、特に生産管理ソフトウェアと機械制御を継続的にデジタル化し、より高度なプラントネットワークに統合しています。
LiSEC社で使用されているKUKAのロボット (c) Martin Gold

板ガラス機械業界での適切なノウハウ 

これらのソリューションを独力で実現するために、LiSEC社はソフトウェアを自社開発しています。ライトナー氏が語るには、「板ガラス機械業界では、大型プロジェクトをも包括的に立案し、展開できるのは当社だけですので、お客様にとってメリットがあります。」そのため、広範な製品群のほかに、ソフトウェアがキーポイントになっています。成功の処方箋は、ずばり、ノウハウです。ライトナー氏の認識によれば、「当社は、ガラス加工業界の内部生産工程をその深くまで熟知して、その立案や展開、ひいては挑戦を承知しています。」そのため、幅広いエンジニアリング能力を身に着けることができました。その際、LiSEC社はいつでも独力でヒントを手に入れることができる幸運な立場にあります。同社は、自社のガラス加工工場であるGlastech Produktions- und Verfahrenstechnik GmbHを運営しています。ここは同社の起源でもあります。そして、絶えず独力で最高のマシンを作ろうとする努力がエーステライヒ州の機械メーカーのコア・コンピタンスになりました。社内での徹底したノウハウの継承は、世界中のお客さまから評価されるマシンおよびプラントの品質となって結実しています。
ロボットは、ローラーコンベア装置と比較して柔軟性と再現性に優れています (c) Martin Gold 

熱分布による位置決め 

自動化は、既に述べた通り、LiSEC社の多くのお客様にとって重要な役割を担っています。そのため、ついには板ガラス製造にもロボットが導入されるのは時間の問題であり、具体的にはいわゆるテンパリングベッド・ローディングシステムを例として挙ることができます。硬化炉では、絶縁ガラスがほぼ700℃まで加熱された後、空気流によって急速に冷却されます。これは一見すると簡単な工程に思えますが、実はそうではありません。なぜならば、硬化炉を高稼働率で運用したい場合、例えば、搬送ローラーの熱慣性や、工程中に発生する空気の乱流を考慮する必要があるからです。また、通常、ガラス板のサイズが異なることも困難な原因となっています。ここで不具合が発生した場合、つまりガラス板上の熱分布が不均一になった場合、表面にわずかな波が発生し、例えばガラスファサードの視覚的印象を大きく損なうため、ガラスの品質の恒常的な低下を招きます。これにLiSEC社は最適化されたテンパリングベッド・ローディングシステムで立ち向かいます。正しい順序で接合された絶縁ガラス層は、最高レベルの要求を満たすソフトウェア計算により、硬化炉の伝熱係数をできる限り考慮した特定の可変位置で、テンパリングベッドに一枚一枚供給されます。この例は、LiSEC社における自社内ソフトウェア開発の価値の高さを示しています。
当然ながら、テンパリングベッド・ローディングシステムは納品前に完全に組み立てられ、徹底的にテストされます。(c) Martin Gold 

柔軟性の向上 

「このような難易度の高いチャレンジに加え、お客様ごとにシステムをカスタマイズしています」と、ベルンハルト・ライトナー氏は説明します。「ここでも当社は、季節によって使用用途や温度を変えるなど、高い柔軟性を発揮しています。」プロセスに対する深い理解と包括的なノウハウなしには - 特にソフトウェアのパラメータ設定時にも -市場でチャンスを掴むことができないであろうことはすぐにわかります。とはいえ、硬化炉に搬入する前にガラスの位置が正確であるかどうかですべてが決まります。この課題に対して従来はローラーコンベア装置で対応していましたが、これにはデメリットがありました。すなわち、あらかじめ設定された固定的な基準位置しか選択できなかったため、必要なスペースが大きく、柔軟性も低かったのです。そのため、LiSEC社はオーストラリアのお客様のプラントで世界で初めてロボットを使用することにしました。.メリットはすぐに明らかになります。位置決めの柔軟性は当然、極めて高く、ガラス板を回転させて硬化炉に送り込むこともできます。「しかし、ガラス板の幅が 3.30 m にもなるため、ロボットのリーチも重要です」とライトナー氏は言います。このような要求においては、ロボット市場の供給はすぐに不足してしまいます。

シンプルな操作性と包括的なKUKAサービスパッケージは、ユーザーのニーズにとても合っています。(c) Martin Gold

高可搬重量とロングリーチ

ここで KUKAの登場となるわけですが、幅広い製品ラインアップのおかげで、世界中で活躍するロボットメーカーの製品群の中から上記の課題に見事に応えるモデルが見つかりました。6軸の KR 180 R3500 ultra K は、3.5 m のリーチで低自重でありながら、180 kg の可搬重量を実現しています。.まだ他にも:ガラス板が重い場合は、ロボットで持ち上げるのではなく、エアクッションサポートで引っ張ります。ローラーコンベアと比較して、速度が速いため、生産性が向上しています。さらにメンテナンスコストが著しく低減し、同時にアクセス性が向上しています。「このロボットのもう一つの特徴は、設置面積が小さいことです」とKUKAのアカウント・マネージャーであるアレクサンダー・アーラー氏は補足します。また、システムの近代化では、スペースに限りがあるため、これは特に有効です。
可搬重量 180 kg、リーチ 3.5 m の6軸ロボット KR 180 R3500 ultra K (c) Martin Gold 

KUKAロボットの導入 

この具体的なケースでは、ロボットはKUKAリニアユニット KL 4000 上に設置され、同様にスリムなデザインで、さらに完全にネジ留めされています。アーラー氏によれば、「設置時の溶接作業は不要になりました。」ガラス板の表面を傷つけないようにするために、当然ながらガラス板を優しく取り扱うのは当然です。ここでも言えることは、繊細な感覚で物をつかむロボットは、ローラーコンベア装置を著しく前進させたものということです。このほか、バキュームカップには跡が付くのを極力防ぐための専用スリーブが装着されています。さらに、ロボットを導入する大きなメリットがもう一つあります。すなわち、プロセス全体の再現性が高まり、それによって工程中のエラーの特定もより容易になります。

私たちはロボットの操作をできる限りシンプルかつ安全にするために投資を続け、ノウハウとエンジニアリングサービスでお客様をサポートします。これは特にエントリーレベルで当てはまります。

アレクサンダー・アーラー氏、アカウント・マネージャー

オールラウンドなパッケージとしてのサービス

「技術的な性能に加えて、ロボットのプログラミングと稼働がとてもスムーズであることが決め手となりました」と、LiSEC社のプログラミング担当者であるアンドレアス・シュテーガー氏は正しい決断を下したことを強調します。「さらに、いつでもKUKAのサポートを当てにすることができました。製品関連サービスは抜群であったし、それは今も変わりません。」ところで、2台目の同型ロボットが焼入れ工程終了後に硬化炉をアンローディングして、システムが完成します。

左から:LiSEC社テクニカル・エキスパート兼プロジェクト・コーディネーター、アンドレアス・マダー氏;LiSEC社プロダクト・マネージャー・ロジスティクス、ベルンハルト・ライトナー氏;LiSEC社テクニカル・エキスパート・ロボティクス、アンドレアス・シュテーガー氏;KUKA社アカウント・マネージャー、アレクサンダー・アーラー氏 (c) Martin Gold

LiSEC RHH - 焼入れベッドのローディングとアンローディングのためのロボットハンドリングシステム 

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