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 リサイクルロボットによる電機器子廃棄物処理

電子機器消費財のリサイクルは、持続可能な循環型経済において重要な役割を果たします。しかし、電子機器廃棄物のリサイクルは人体に害を及ぼすリスクがあり、ロボットやオートメーションの導入が求められる分野です。アイルランドのテクノロジー企業・Votechnik社は、KR QUANTECを採用してそれらの課題を克服するシステムを開発しました。


プロジェクトALR-4000: 有害な電子機器廃棄物の処理を自動化 

水銀やガス、鋭利な部品を含むため、液晶ディスプレイ(LCD)仕様のスクリーンやモニターの解体を人が行うのは危険をともないます。アイルランドのテクノロジー企業であるVotechnik社は、KUKAの産業用ロボット KR QUANTECを中核とする自動化アプリケーションALR-4000を開発しました。有害ガスを抽出し、蛍光管やスクリーンなどの先の尖った部材を除去することで、人への危険をなくすばかりでなく、増加する電子機器廃棄物にも対処します。
問題からソリューションへ:KUKAのKR QUANTECは、液晶ディスプレイのリサイクルに特化した設計

2億台の液晶テレビ生産とその後

液晶テレビが及ぼす環境への影響は計り知れません。毎年、世界中で約2億台の液晶テレビが販売されています。それは廃棄物を生み出すことも意味し、効率的・安価・安全な処分が求められます。専門家の予想によると、薄型テレビの製造に使用される「隠れた」温室効果ガス・フッ化窒素は、石炭火力発電所よりも地球温暖化を進行させる可能性があると指摘します。しかしながら、消費者による薄型テレビ等の需要は、その後、廃棄物を増大させる一方であることを示しています。Votechnik社の創設者兼CEOであるリサ・オドノヒュー氏は「全世界で循環型経済への移行が進んでおり、ヨーロッパはグリーンディールや循環型経済行動計画などの施策において世界をリードしています。現在使用している製品から材料をリサイクルするためには、このような取組みが急務となっています。」と説明します。
液晶テレビの大量生産の結果、その中から廃棄物の流れに至るものが増える一方です

リサイクル処理:
ロボットの適用で、人へのリスクを低減

Votechnik社製ALR-4000の採用により、電子機器廃棄物を自動的に処理し、安全に廃棄することができます。従来、これらの製品の多くは埋立て処分されてきましたが、その際に水銀が土中や水中にしみ出してしまう恐れがありました。家電製品のガス放電ランプに含まれる水銀が食物連鎖に入り込むと、結果的に人体の筋神経に影響を及ぼし、認知障害などを引き起こすリスクがあります。一般的な40インチテレビには、水銀を含む細型ランプが約18kmも使用されています。KUKAアイルランド支社の専務取締役ブライアン・クーニー氏は、「この領域は、ロボティクスの理想的な応用分野です。機械が化学物質耐性設計をもつ機械によって処理する場合、化学物質による悪影響を受けることはありません」と強調します。
電子機器廃棄物のより安全なリサイクルソリューション - KUKAロボットを使用した自動化システムALR-4000
廃棄物リサイクルの自動化:ここでKR QUANTECは、優れた堅牢性と再現性を発揮します。

KR QUANTEC:リサイクルの中核を担うロボット

リサイクルロボットによるプロセスの自動化により、有害なガスや液晶に人が触れることがなくなり、蛍光管やテレビスクリーンを取外すときに発生した割れたガラスで怪我をするリスクもなくなりました。このシステムには、高可搬重量のKUKA産業用ロボットKR QUANTECが装備されています。「KR QUANTECは当社製品の中で最も環境に優しいロボットであり、廃棄物リサイクルの分野に適しています」とブライアン・クーニー氏は説明します。KR QUANTECは、優れた運転効率費用対効果の高いセットアップとメンテナンスが特長です。モジュール構造により、必要部品数が大幅に削減されるため、メンテナンス頻度を最小限に抑えることができます。また、革新的なケーブル・電源設計により、稼働コストをさらに削減することができます。ロボット自体も最大90%リサイクル可能です。

貴重なマテリアルの取り出しと
有害物質の封じ込め

手作業とリスクを最小限に抑えながら、ALR-4000は、手作業に比べ、スループットを1時間あたり5台から60台まで、つまり1,200%の生産増加を実現できます。また機械は24時間稼働が可能。「当社の技術は、廃棄物から貴重な物質を取り出すばかりでなく、その過程で有害物質を取除き、危険物質を封じるための高スループット処理を実現します」とVotechnik社CEOのリサ・オドノヒュー氏は述べます。クリーニングプロセスは密閉されたALR-4000の中で行われ、内蔵カーボンフィルターシステムにより有害なガスがキャッチされ、大気中に放出されることはありません。
高スループット:自動化システムで、1時間当たり60台リサイクル

カーボンブロックフィルターにより
プラグ・アンド・プレイ・システムを実現

カーボンブロックフィルターは有害ガスを含む汚染物質の除去に極めて有効であるため、Votechnik社は、「プラグ・アンド・プレイ」システムの実現に成功しました。液晶ディスプレイの廃棄に際しては、ALR-4000は形状やサイズ・ブランド・型式などといった様々な課題の解決をサポートします。液晶ディスプレイの構成には、150本以上のネジと接着剤・テープ・ケーブルタイを含む様々な固定具が含まれます。スピーカーが上下に取付けられているものや、背面にDVDプレーヤーが装備されているものなどもあり、Votechnik社は10年以上の時間をかけ、4度の開発を重ねることによって、多数の液晶イテレーションに対応する剛性の高い自動マシンを完成させました。
多種多様な固定具でも、ALR-4000セルが自動処理します。
将来のプロジェクト:リサイクルロボットが液晶ディスプレイの解体を担当

剛性が高く、信頼できるKR QUANTECを

KR QUANTECは上記の課題解決に大きく貢献しています。この産業用ロボットは、剛性・信頼性・再現性に優れているばかりでなく、ロボットアームの重いツールを含め、荷重のハンドリングが可能な耐荷重性を有しています。この剛性の高さは、高度な自動化による高精度の作業が要求される廃棄物のリサイクル分野において、理想的なパートナーとなりえます。

グローバルサービス&サポート

Votechnik社にとってのもう1つの重要な観点は、ALR-4000セルが廃棄物のリサイクルで世界的に使用されることを見込んでおり、グローバルレベルでのロボットサポートを充実させることでした。KR QUANTECの採用にあたり、KUKAのグローバルな存在感とALR-4000マシンの全世界でのサポート能力が大きな決定要因となったのです。10年という開発期間を経て、ALR-4000は、自動リサイクルのソリューションプロバイダとして家電製造業界が抱える多くの課題解決をサポートします。
KR QUANTECは貴重な原材料を廃棄物から採取

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