表面研磨のオートメーション
ボディー部品の深絞り用工具、複合材料でできたコンポーネントのはめ込み型、プラスチック部品の射出成形金型など、フライス加工後の形成工具の研磨、仕上げは今でもその多くが手作業で行われています。一方、高度にオートメーション化された企業では、最高で20人日を要する大型の自由曲面研削もあります。表面加工技術の進歩に伴い、プロセスは非常に臨機応変で精確かつ信頼性の高いもの、そして可能な限り経済効率を高めたものが求められています。
今回の目標は自動化が可能な方式によって、金属の表面を高品質な機能表面へと変貌させることでした。そこでワーク表面をならすハンマー作業を「機械ハンマーピーニング」(Machine Hammer Peening)というアプリケーションで可能にしました。この工程で扱う複雑なワークの表面をオートメーションで加工するために、SEMATEK社はKUKAロボットとKUKA.CNCソフトウェアを採用することにしたのです。
KUKA.CNCにより制御されるKUKA KR QUANTEC
KR QUANTECシリーズのKUKAロボットのフランジには、線形振動するハンマーヘッド(3S-Engineering GmbH社製FORGEfix)を備えた空気圧駆動ツールが搭載してあり、表面の機械加工を行います。ロボットによるワークの計測が終わると、KUKAのソフトウェアKUKA.CNCによってハンマーヘッドが表面の鍛造動作経路をなぞります。この時、フライスの溝部分にある窪みの下に、フライスの先端が押し込まれます。球の直径、送り速度、軌道の間隔、表面と打ち込みの角度などは、プロセスに応じて選択あるいは設定することが可能です。
SEMATEK社が加工ヘッドの計測に選んだのは、LEONI GmbH社の5D測定システムでした。この方法を使うと、ツール中心点 (TCP) の測定だけではなく、ツールの向きが極限まで正確に測れるようになります。最高の加工精度を追求する上で、ツールの向きは特に5軸CNCプログラムの処理において重要な要素になります。